県都盛岡市と花巻市の中間にある岩手県紫波町の東南端に位置する中山間地域。世帯数300戸の佐比内地区の活性化と農業振興を目的に、地区内を通る国道396号に面して平成5年に農産物直売所を開設。地区内100戸あまりの農家が組合を組織して経営をはじめた。国道は盛岡市と遠野市、釜石市を結ぶ主要道で、店の場所は紫波町と旧大迫町(現花巻市)の町境の小さな峠にあたる。 盛岡市から花巻市、遠野市にかけての地域は設立時から直売活動が盛んな地域だ。現在は旧町村ごとに常設直売所が複数あるほど直売所間の競争が激しい。国道396号には6盛岡よりに先発の赤沢直売所があるなど、直売所が林立していて、産直街道とも言われる。なお、紫波町には9カ所の常設直売所(3カ所は土日営業)が地区ごとにあり、直売所の町として知られている。
店の出荷・運営は組合員だけで進める方針を貫く
直売所が開設される3カ月前から仮設店で販売をはじめる。施設整備のため、組合入会には当初で15万円を要し、組合員家族の生産物しか販売しない方針。運営の全てを組合員が行う方式で貫くなど、徹底した自助努力で経営している。そのためか経営収支は順調に推移してきた。運営面では、店の売場面積が75と狭いので、冬期以外は店前にテント売り場70を常設し販売している。 直売所間競争が激しい地域なので、客を呼び込むためには品数と品揃えを良くする努力が必要であり、また、店の特徴を明確に示す工夫が絶えず求められる。そこで、隣接する「乳神様」にちなんだ加工品をつくるなど、年度ごとに目標を決めて、オンリーワン作りを合い言葉に目玉商品や目玉イベントを開発している。19年度は40万円かけて組合員2戸あたり1体の特徴あるかかしを作る「かかしまつり」を開催した。53体のかかしを20日間店の前に展示したところ、地元テレビなどで報道され集客効果をあげた。また、町内直売所で組織する協議会で共同開発した「紫波のしわくちゃ豆」のブランド化にも成功した。
店の運営・レジ・清掃すべてを当番で対応する
経営責任は理事7名が担い、定例理事会は隔月。集落毎に事業推進員を置き、理事会決定事項などを伝達する。組合員登録数104戸、主たる出荷者は80戸前後。手数料10%。組合新規加入は受け付けるが、最近は加入希望者がいない。入会金は当初15万円であったが、現在はその後の設備投資などを考慮して44万円としている(退会時に15万円返却)。 店の運営は組合員の当番制で対処。レジや清掃などに当たる。9〜10月は月3回、他は月1〜2回当番となる。当番手当1日(8時〜18時30分)6,500円。当番に出るのは子供を含む家族の誰でも良い。中高生の当番は当人にも好評。その他に、早朝の清掃日(年4回、各1時間、1回10名)当番、隣接公園の清掃当番(月4回、1回1時間千円)などがある。ただし、店長は専任3人が交代で毎日1名が務める。客が多いとき以外のレジ作業は当番に任せ、店長は雑多な業務と対話など客対応をする。また、事務担当者が平日のみ半日勤務する。 組合員研修としては、全国サミット、東北サミットに毎回3名参加。県主催の研修会などにも参加。組合員全体研修会は年3回。作目技術研修は部会活動で実施。研修費用として5人以上の研究会活動には年間1人1万円を支給。組合員の親睦としては、今年は九州旅行の予定。2年に1回海外旅行、毎回20人程度が参加している。 なお、中高校生の社会参加活動に協力して、レジ体験、店員体験などを受け入れている。
品揃えを良くするため、出荷量制限はしない
18年度販売額は1億8千万円。今年は5%程度増で推移している。品目別販売実績では、ぶどう、りんごを中心に果物40%、野菜20%、山野草も含めて花木20%、加工品10%、その他10%。客単価は盆から10月にかけて果物が豊富な時期は1,100円台、年間平均は800円台である。 品揃えを良くするため、組合員の出荷量制限はしない。組合員家族がつくったものなら何でも売ろうという考え方である。家族合計で年1,300万円売った農家もある。出荷量を制限しない方が出荷意欲が高まり、店として販売品の数や種類が増え、それにより客が増えるようだ。開店後10年以上を経過したので農家も作り方や売り方が分かってきた。それぞれが得意なものの生産に力を入れるようになり、店としての品揃えも良くなってきた。 品質面では、農薬の使用など安全面では行政の指導に従うことを前提にしている。大きさ、形などは規格外品の販売も農家の自主性に任せ、ごまかしは認めないが、規格外品だけの箱詰め、袋詰めでの安売り販売などを認めている。また、販売促進のために、店独自にポイントカードを発行している。
商品はすべて地区内で生産したものに限定する
佐比内地区の活性化、地区農業振興を目的に設立された地区ぐるみ活動といえるので、販売品は全て地区内の組合員およびその家族が生産したものに限定している。原則として仕入販売はしない。運営も全て組合員家族が有償当番で行う。組合員は世帯ごとに代表者が正組合員となるが、家族ならば個別に販売でき、販売日翌日に入金するようにしている(貯金通帳を個別に持たせている)。この方式は家族全員のやる気を高め、後継者確保に効果があるようだ。 組合として年度ごとに黒字経営を維持するように努力し、黒字分は機資材の充実など設備投資に活用したり、地元への還元に務めている。
















紫波ふる里センター
