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No.16 「あんずの里市」(福岡県福津市)

2010.02.09

生産者の心意気がリピーターを惹きつける

農村での女性活動の活性化を目指した女性グループ経営の直売所成功事例。直売所間競争が激しくなる中、初心を忘れず日々工夫した運営で売上額を維持している。
[地域:九州・沖縄]

店の自慢

あんずの里市 店舗内の様子

 地元野菜中心で品揃えが良く、安さ、新鮮さは地域1番と自信を持つ。地元漁家が出荷する魚は鮮度が違うと評判。店が独自に開発したあんずのドレッシング、ジャムなど加工品も人気。商品の配置にも店のつくりにも農家女性の素朴な運営が目に見えるような店である。



店の様子


 福岡市と北九州市の間の福津市(旧津屋崎町)東北端に位置。宗像市と接する地点で、玄界灘に沿って走る国道495号の小さな峠に立地する。
 店は発展に伴い建て増したため、使い方に苦労するが、広々として込み入った印象はない。地元農産物と農産加工品の売場、水産物売場、野菜仕入品と米の売場に部屋が分かれる。地元産と仕入野菜を明確に区別していることは客に好評。
 地元産野菜棚は3段積み、下2段はコンテナ、上段はばら置き。米は個人名と農協の米を競争で販売。魚は地元漁家(女性)直売のショーケースと準組合員の業者ケースに分けて販売。客はまず地元漁家の売場に向かう。レジは7台で客を行列で待たさないように配慮。



販売活動


 生産者が自信と誇りを持って販売しようと呼びかけ、新鮮、安全、おいしい、安いを心がける。営業は8時~17時。7割以上の客が12時までに集中。午後は品薄で客も減る。開店間際と10時頃にピークがある。客は道路事情がよい北九州市民が50%、福岡市民25%、地元など25%。
 野菜は商品ごとに位置が決めてあり、あとは出荷者ごとにマイコンテナを先着順に置く方式。コンテナ数の制限はない。朝置いた商品はすぐ売り切れるので、後出し組は10時頃出荷。残品は夕方引き取り。組合員は出荷時、引取時にお互いの情報交換を楽しんでいる。
 個人別の売上状況はメールで携帯電話に連絡。常時売場をカメラで写し、商品の売れ行き状況が携帯で見られる。これらの活動を通して組合員の競争心が芽生え、高齢者が元気になり、若い農業者との交流も始まっている。



消費者との交流


 組合員は出荷時に統一の帽子やジャンパーを着用し、客との対話に心がける。交流活動にも力を注ぎ、5月誕生祭、11月感謝祭、3月あんず祭りを開催。体験教室として農業体験、ジャムづくりなど加工体験、草木染など工芸体験、魚のさばき方教室など年間約20回行っている。



競争激化


 国道を3㎞、車で4分の宗像市内に、年間売上額10億を目指した直売所が20年4月にオープン。出荷者が所属する同じ農協の経営で、多くは両方に出荷する。スーパーも直売を始め、生産者の勧誘を始めたので、出荷量が減らないよう注意する。今は相乗効果で客が増え、売上額の減少はない。ただ、20年度はガソリン高騰もあり遠来客が減った。



設立・経営の理念


 平成6年に女性グループ約30名による軽トラック荷台での青空市開催が出発点。当初は月1回開催。8年に施設が完成し常設販売を開始。同年にあんずの里市利用組合を結成。「地域女性を元気に」という目的は達成した。



経営管理


 売上額は14年度をピークに横ばい。19年度総売上額4億8千万円、客単価1,200円台。組合は役員10名、女性主体の経営をしてきたが、競争時代を迎えて男性の感覚も重要と男性役員を迎えた。組織活動は集落単位の活動が基本。役員会の下に集落代表20名からなる地区委員会がある。
 組合員は240名で手数料12%。20年6月に品揃えを良くするために準組合員として40名が加入。準組合員は出品のみの責務で、当番もなく、手数料は14%。雇用はパートを含め週末9~10人、週日6~7人。
 レジシステムを改善し、品目別、生産者別、時間帯別集計ができるように。農家の世代交代が進むため、普及所の栽培技術指導も受ける。



展望と課題


 直売所間競争が激しくなり、これまで以上に消費者に農家の心意気を示していきたい。今後、組合を株式会社に変更する予定も。